森の種陶工所

 大阪府交野市で日常使いの器と家の器を制作しています。
 2016年夏から京都府綾部市への移住のため、古民家改修をはじめました。

 私たちの暮らしの仕事、「暮らしごと」を綴ります。
2月12日17時すぎ、あやべ温泉に向かう道中。

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道路は相変わらず雪だらけで、2駆動でFR(後輪が動く)の軽自動車で、生きた心地がしないまま、ゆっくりと走っていました。集落から離れて温泉に近づくにつれ道の雪が少なくなってきて、温泉に向かう一本道に入りました。

あやべ温泉は小高いところにあり、駐車場の手前が大きなカーブになっているので、スリップしないようお水が流れて雪を溶かしているようでした。その水のおかげか、温泉の手前の道は全く雪がなく、久しぶりに黒いアスファルトの道が現れました。

「ここまで来たらひと安心!」とふたりで思った瞬間。
車がツツーと滑りはじめたと思ったら、主人の背景が遊園地のコーヒーカップみたいに…。
車が回転し、そのまま道の脇の雪壁に激突し、180度逆の方向で止まりました。

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ふたりの間に沈黙。恐怖。見つめ合って固唾をのんでみる…。
とりあえず車の外に出ると、滑ってコケそうなくらい道路がツルツルだったのです!
アスファルトの道だと思っていたら、水が凍って完全凍結していたのでした!
しかも車を見ると、右側の車輪が溝にはまっていました。

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とりあえず、オリジンさんに連絡したら駆けつけてくれることになりました。電話している最中に、すぐそばの「がれっと」さん(2016年12月の記録4でKさんご夫婦とごはんを食べました)のご主人と、お客さんが駆けつけてくれました。
「道がすごい凍ってるな!」とお二方もびっくりされ、はい…などと話をしていると、あやべ温泉に向かう軽トラがハザードを出して停車。「なんやはまったんか?」と車から降りてきてくださいました。白い長靴のおじさんは、さっそくシャベルを持って、お手伝い体制に入ってくれました。

オリジンさんご夫婦も駆けつけてくださり、みんなであれこれしていると、なんと、あやべ温泉にお勤めの、がれっとで一緒にごはんを食べたKさんも車で通りかかり、「はまったんですか!」と車から出てきてくださいました。

わあ、綾部のお友達がみんな揃った!と偶然の奇跡に感動しました。

車輪のはまった溝にはすごい水が早いスピードで流れているので、雪で埋めてタイヤを着けることもできません。ジャッキを使って車高を上げようにもジャッキがかかる場所が車にはありません。オリジンさんのご主人が持ってきてくださった角材やがれっとさんのところからお借りしたレンガなどをタイヤの下に入れ、タイヤをジャッキで上げようにも、タイヤでは持ち上がるはずもなく…

寒くて暗い中、試行錯誤を繰り返しました。他にももう一方軽トラのおじさんがお手伝いしてくださって、Kさんがあやべ温泉のスタッフの方を呼んでくださって、帰る途中のスタッフさんも止まってくれて、総勢10人くらいになったでしょうか。
最終的には「てこの力」で、溝の中に支点となるようレンガと角材を積み、足場板で持ち上げ、みんなで車を右から左に押し、ようやく車を救出することに成功しました!

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オリジンさんご夫婦、Kさんはもちろんのこと、見知らぬ私たちのために時間と体力をさいて手伝ってくれた綾部の方たちの優しさに、心を強く打たれました。
「困ったときはお互いさま」
都会の暮らしでは忙しすぎて忘れがちな大切なものが、ここにはある…と思いました。

完全に体が冷え、夕飯の時間も遅くなり、オリジンさんご家族も今日は温泉に入るとおっしゃっていたのに…「本当にごめんなさい!」と謝ると、「冷えたでしょうから、ゆっくりお風呂で温まってからうちに来てくださいね」と温かい言葉をかけていただきました。

Kさんや、お手伝いしてくださった方にもお礼を言って、ありがたく温泉で温まり、オリジンさんのお家で心のこもった、おいしい晩御飯をごちそうになりました。
帰る前に、お家の前に完成していた立派なかまくらに、お嬢さんがたくさんのろうそくを灯してくれました。

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ちらちら輝く光を見つめながら、オリジンさんが「ここでの暮らしは、こうして大雪が降ったりして、毎日が非現実みたいなところが楽しい。」とおっしゃられたのがとても心に響きました。

人生の大半をごく普通の便利な環境で過ごしてきた私は、まだ時々、工房での暮らしと他の人とを比べてしまったり、またはちょっと変な人扱いされては、少し傷ついたような気持ちになる時があります。
でも、綾部に来ると、自分たちは変じゃなくて人間として当たり前の暮らしをしているだけだと思えます。これから私たちはここで暮らすのだ…と思うと、やさしい気持ちになりました。

見返りを求めない親切に触れることができた時のぬくもり。
なんて幸せなんだろうと温かい気持ちに浸れた一日でした。

つづく

written by akiko
 

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